プロログ﹃今⽇も閑古⿃﹄
陽だまり亭には︑今⽇も今⽇とて客がいない︒
﹁ヤシロさん︑顔が怖いですよ︒お茶でも飲んで⼀息ついてくださいね﹂
ジネトがいつもの笑顔で俺の前に湯吞みを置く︒にこにこと︑悩みのなさそうな顔だ︒
⼀⽅のエステラは呆れ顔だ︒まるで聞き分けのない⼦を⾒るような⽬で俺を⾒ている︒
現在︑⾷堂にいるのは俺を含めて三⼈だけだ︒……ホント︑客が来ない︒
が︑俺が不満を覚えているのはそんなことではない︒
﹁なんで物が売れないんだよ ︖納得がいかん﹂
俺は︑⾏商ギルドといざこざがあた際にゴミ回収ギルドを作た︒その⽇から俺は︑ギルドに所属している⼈間になたのだ︒だというのに物を売ることが出来ない︒
﹁ゴミ回収ギルドが許可されているのは︑ゴミを買い取り︑陽だまり亭及びそれに付随する関連各所での有効利⽤であて︑それをそのまま販売することは認められていない﹂
集めた⾷材をどこかに売ることは出来ない︒それは⾏商ギルドの範疇だからだ︒﹁どうしても売りたい物があるなら領主に申請して﹃売買許可証﹄を発⾏してもらうといいよ︒
⼀回限りだけど品物を売買することが可能になる︒ちなみに︑使⽤後は取引相⼿のサインをもら
![]()
てきちんと失効印をもらうこと︒誤魔化して使い回すと罪になるからね﹂
領主の許可が取れない代物──つまりは取り⽴て屋ゴ フレ ドとの⼀件で⼿に⼊れた⽈く付きの⾹⾟料を売りたい時はどうすりいいんだて話なんだが︒
﹁お前さ︑﹃許可証ならいつでももらてきてあげるよ︕﹄とか⾔てなかた け︖﹂
![]()
﹁さ︑記憶にないな﹂
嬉しそうに⾔いやがて︒
カンバセ シヨン・レコド
﹁調べてあげるから﹃会話記録﹄を呼び出して︑画⾯をこ ちに向けてみてよ﹂調べるだと ︖そんなことが出来るのか︒
カンバセ シヨン・レコド
﹃会話記録﹄のまだ知らぬ使い⽅か……⾒ておいて損はないだろう︒
カンバセ シヨン・レコド
俺はエステラの⾔う通り︑﹃会話記録﹄を呼び出し︑画⾯をエステラに向けた︒
﹁検索︒﹃許可証ならいつでももらてきてあげるよ﹄﹂
しゆんかん カンバセ シヨン・レコド
エステラが⾔た瞬間︑﹃会話記録﹄の画⾯が﹁ババン︕﹂と真⾚に染ま た︒
﹁なんだこれ!?﹂
カンバセ シヨン・レコド
﹁﹃会話記録﹄では︑直近の五分を除外して過去の会話を検索することが出来るんだ﹂﹁すげ便利じ ん﹂
﹁検索した結果︑該当する会話は⾒つからなかたようだよ﹂
﹁お前の調べ⽅が悪いのかもしれん︒俺にもやらせろ﹂
﹁……やてみたいだけじ ないか︒しうがないな︒⼀回だけだよ﹂
カンバセ シヨン・レコド
そう⾔てエステラは﹃会話記録﹄を呼び出し︑画⾯を俺に向ける︒
よし︒
﹁検索︒﹃もとおぱい⼤きくならないかな﹄﹂
カンバセ シヨン・レコド
俺が⾔うと︑﹃会話記録﹄の画⾯に﹃該当件数 48件﹄と表⽰された︒
﹁ち おと!? なにしてくれてんのさ!?﹂
﹁ふむ︒思てたより少ないな﹂
おおあわ カンバセ シヨン・レコド にら
⼤慌てで﹃会話記録﹄をしまい︑真⾚な顔で俺を睨むエステラ︒
﹁ま ︑ま たく ︕どうして君はこういうくだらないことばかり考えつくんだい!?﹂こほんと咳払いをして︑エステラは話題を変える︒というより戻す︒
﹁もし君が︑﹃思いがけずに﹄⼿に⼊れた物があるならば︑ボクに⾔てよ︒領主の許可証と⼀緒に優良な商店を紹介するから﹂
それはつまり︑﹃妙な素振りは⾒せるなよ﹄という脅しか ︖ ……くそ︒この⾚髪ぺ娘は︑どこまで勘付いてやがるんだ︒ま ︑おそらく︑﹃全部﹄なんだろうが︒
あ ︑チキシウ︒万策尽きたな……と︑なんとはなしにジネトに視線が向く︒いや︑待てよ︒ジネトのこの︑無欲の微笑みとわがままボインがあれば……
﹃えへへ︒よく分かんないんですけど⾹⾟料買てください﹄
きよにゆう
たんこ
﹃いや ︑こんな巨乳美少⼥に⾔われち 買わないわけにはいかないな︑でへへ﹄こんな感じで上⼿くいくんじ ないか︖
﹁ふ !? な︑なんですか︑ヤシロさん ︖ジ と⾒つめて……﹂
﹁いや︑やりようによてはアホのジネトでも使い道があるんじ ないかと思てな﹂
﹁ひ︑酷いです︑ヤシロさん︕﹂
ぷりぷりと怒るジネトを眺めながら︑﹁んな簡単に⾏くなら苦労しねよ﹂と︑⾃分⾃⾝に
ツコミを⼊れておく︒
あ ︑なんとかして売れねかな︑⾹⾟料……
そんなことを密かに思う︑あまりにも暇過ぎるある⽇の午後だた︒
ホント客来ね な︑この店︒
